自作の温水暖房装置で冬のキャンプを楽しむ - 温水ヒーターで寒さ対策

冬キャンプの寒さ対策として、暖房用の温水ヒーターを製作して使ってみました。

この装置は暖を取る温水部分のみをテントの中に引き込み、燃焼器具はテントやタープの外に設置します。

なので一酸化炭素中毒の心配がないというメリットがあります。

また、自作マットに温水チューブを這わせれば、ポータブルなオンドルにも変身します。

使用するストーブは調理用と兼用ですが、燃料タンクの過熱防止の為にバーナー部が燃料ホースで離れているタイプを使用します。

このページでは自作の温水暖房装置を冬のキャンプで使用した様子を紹介しています。

2025年バージョン

2024年バージョン

循環式温水暖房装置

この温水暖房装置(温水ヒーター)は10メートルの銅管と10メートルのシリコンチューブで自作したものです。

製作方法は「自作のキャンプ用オンドル」のページで紹介していますので、ご参考までに。

冬のキャンプで寒さ対策をするには様々な方法がありますが、安全面を重視するなら「お湯」を使った暖房が最適だと思います。

この温水ヒーターは、燃焼器具で温められた銅管内の熱水(水蒸気)が膨張することで繋がれたシリコンチューブ内の温水が移動して循環する仕組みになっています。

電気を使わないところもメリットの一つです。

循環式温水暖房装置

この装置の利点として以下の事が挙げられます。

    温水暖房の利点
  • 一酸化炭素中毒の心配がない
  • 燃費が良い
  • 軽量化できる
  • 装置が倒れても大丈夫
  • 予想以上に暖かい

一酸化炭素中毒の心配がない

お湯を温めるストーブ(燃焼器具)をテントの外に出して使う場合は、一酸化炭素中毒の心配がないので安心です。

燃費が良い

お湯が安定した循環を始めると燃焼器具は「とろ火」で使用するので、燃料代がかかりません。

また、温水は自動で循環するので電源も必要ありません。

軽量化できる

温水循環装置に使う水は、キャンプ場の炊事場などで現地調達することが出来るので、荷物の軽量化ができます。

装置が倒れても大丈夫

装置のカップに入っているお湯はチューブを通って出てきた冷めたお湯なので、もし装置が倒れてお湯が掛かっても火傷はしません。

しかし、装置本体に触ると火傷します。

予想以上に暖かい

チューブのお湯が熱湯なので、チューブの上にシュラフやブランケットを掛けておくと、とても暖かいです。

というか暑いくらいです。

循環式温水暖房装置の利点と欠点

対してデメリットとしては以下の点。

    温水暖房の欠点
  • 自作する必要がある
  • 火傷の危険がある
  • 水の補給が必要
  • 火加減の調整が必要
  • 氷点下では配管の水が凍る

自作する必要がある

日本では、キャンプ用の温水暖房装置が売られていないので自作する必要があります。

火傷の危険がある

装置を循環している熱湯の通ったチューブに長時間触れて低温火傷したり、空焚きでチューブや配管が破損して熱湯が吹き出したりすると大変危険な場合があります。

水の補給が必要

タンクの水が空になると配管が破損してしまうので、定期的に水の補給が必要になります。

火加減の調整が必要

温水の循環が安定するまでは火加減の調整が必要になります。加圧式のストーブを使う場合は定期的にポンピングもしなければなりません。

氷点下では配管の水が凍る

氷点下の日に、火を消して温水器をテントの外に置いたままにすると配管の中の水が凍ってしまいます。チューブもカチカチに凍ります。

銅管内の水が凍って膨張すると配管が破損することも考えられます。

配管の中の水が氷る

配管が凍った状態でバーナーの火にかけても、配管とチューブ継ぎ目から温水が吹き出すので危険です。

その場合は、車のエンジンをかけて温風ヒーターで強制的に配管内の氷を融かすという方法もあります。

車の温風ヒーターで氷を融かす

軽量バージョン

この温水暖房装置は、必要最小限のパーツを使うことで軽量化することができます。

テント泊で冬のキャンプを楽しむ場合に有効です。

その際には、以下のパーツが必要になります。

    装置以外に必要なパーツ
  • 保温・断熱チューブ
  • 放熱チューブのカバー
  • ロープ・ダブルクリップ
  • 風防

必要なパーツについては以下で紹介します。

軽量バージョンのキャンプ用温水暖房装置

保温チューブの製作

コイル状になった銅管の湯沸かし部分から温水をテントの中に引き込む際にシリコンチューブが剥き出しになっているとお湯の温度が下がってしまうので、保温チューブが必要になります。

そこで、百円ショップで売っていた女性用の靴下を使って自作することにします。

商品名は「レディース オーバー ニーソックス」で、価格は税抜き100円でした。

女性用の靴下を使って保温チューブの製作

サイズも丁度良いですね。

保温チューブに最適なサイズ

まずは靴下の「かかと」部分をカットします。

かかとの部分をカット

裏側から糸で縫って、かかとの出っ張りを無くしました。

かかとの出っ張りを無くす

そして、二つの靴下の「つま先」部分をカットして縫い合わせます。

つま先部分をカットして縫い合わせる

これで靴下が一本のチューブ状になりました。

長さを計ってみると1100mmあるので、使用には問題ないでしょう。

靴下が一本のチューブ状

出来上がった保温チューブを温水ヒーターに取り付けてみます。

保温チューブの長さはフライシートの外からテントの中まで引き込んでも余裕があります。

保温チューブを温水暖房装置に取り付ける

ゴムの部分は、そのままでもズレないと思いますがダブルクリップで固定しても良さそうですね。

ゴムの部分はそのままでもズレそうにない

放熱チューブのカバー

温水ヒーターと繋がっているシリコンチューブには温水が流れて放熱していますが、一部には熱水もしくは水蒸気が流れています。

その放熱チューブに長時間触れているとヤケドもしくは低温ヤケドしてしまう恐れがあります。

そこで、百円ショップの円形クッションを使って放熱チューブのカバーを製作してみました。

商品名は「チェアパッド フランネル調」で、こちらも価格は税抜き100円です。

百均のチェアパッド フランネル調

裏面はフエルト生地になっています。

チェアパッドの裏面はフエルト生地

フチ部分はミシンで縫われていましたが、糸を解いて半分ひらくようにしました。

そして、外したミシン糸を使って手縫いでフチを縫い直しています。

外したミシン糸を使って手縫いでフチを縫い直す

これで、ペロっとめくれます。

ペロっとめくれます

作ったカバーに放熱チューブを入れてみます。

作ったカバーに放熱チューブを入れる

表生地はフランネルなので肌触りが良いです。

表生地は肌触りの良いフランネル

そして、シリコンチューブの温度が一番高くなる部分にはケーブルチューブを巻いています。

こちらも百均で売っています。

シリコンチューブの温度が一番高くなる部分にはケーブルチューブを巻く

ここは銅管コイルから熱水や水蒸気が最初に通る部分なので高温になります。

剥き出しの放熱チューブをウレタンマットの上に置いていると熱で跡がつくほどなので注意が必要です。

熱水や水蒸気が最初に通るので高温

本体をロープで固定

温水ヒーターの本体はキャンプ用ストーブの上にのせているだけなので突風や振動で落下してしまう恐れがあります。

そこでダブルクリップを3本使ってロープで固定してみました。

もし、本体が倒れたとしても上部にあるタンクの温水は熱湯ではないので火傷することはないと思います。

しかし、装置本体がテントに当たると生地が確実に溶けます。

ダブルクリップを3本使ってロープで固定する

三方向からロープで地面にペグダウンしているので動きません。

グラつかなければよいので少し緩めにロープを張っています。

少し緩めにロープを張る

本体は軽いのでペグは小さなものでも構いません。

本体は軽いのでペグは小さなものでも構わない

風防を設置

ストーブの炎を弱火で安定させるためには風防が必要になります。

使用しているのはオプティマス ノヴァに付属していたペラペラのアルミ風防ですが、風除けの効果は抜群です。

ペラペラのアルミ風防ですが風除けの効果は抜群

温水ヒーター バージョン

実際に温水ヒーターを野外で使用してみました。

テントの外に燃焼器具を設置して温水が通る放熱チューブをテントの中に引き込んでいます。

温水が通る放熱チューブをテントの中に入れる

フライシートを閉めた状態でも問題なく使用できます。

フライシートを閉めた状態でも問題なく使用できる

このカバーの中に放熱チューブがグルグル巻きの状態で入っています。

カバーの中に放熱チューブがグルグル巻きの状態で入っている

カバーの下に温度計を入れて計測してみると。

カバーの下に温度計を入れて計測

40℃でした。

放熱チューブの温度は40℃

温水暖房の放熱チューブをシュラフの足元に入れます。

温水暖房の放熱チューブをシュラフの足元に入れる

ポカポカです。

冬用のダウンシュラフだと暑いくらいですね。

冬のキャンプで眠る時に冷え切った体を暖めるには丁度良いかも。

冬用のダウンシュラフだと暑い

当時の気温は9℃でしたが、夏用の封筒型シュラフに放熱チューブを入れると適温でした。

今回は6時間ほど連続使用してみましたが、問題なく暖かく過ごせましたね。

途中、水位制御タンクに水の補給したり、追加のポンピングなどが必要ですが、それもまた楽しい。

夏用の封筒型シュラフに放熱チューブを入れる

YouTube

オンドル バージョン

また、別の使い方で専用の自作マットにチューブを這わせることによってオンドルのような床暖房装置にもなります。

タープ内で使う場合は風の影響を受けにくいので、地面に固定するロープやダブルクリップが必要ありません。

代わりに閉鎖された空間で火を使うので換気と一酸化炭素警報機は必須です。

その際は、以下のアイテムが必要になります。

    装置以外に必要なパーツ
  • 床暖房専用の自作マット
  • 保温・断熱チューブ
  • 風防
  • 一酸化炭素警報機
タープの中で床暖房装置を使う

シリコンチューブを這わせる専用の自作マットです。

これがあれば、ポータブルに持ち運びができるオンドル暖房になります。

ポータブルに持ち運びができるオンドル暖房

シリコンチューブの長さが約10メートルあるので、マットの溝にハメ込んでも長さに余裕があります。

温水床暖房用マットはキャンプマットの上に敷いています。

マットの溝にチューブをハメ込んでも長さに余裕がある

その上にシュラフを被せるだけです。

温水の循環が安定すると、とても暖かいです。

タープの外は雪がちらついていますが、まるでコタツに入っているかのようなホカホカ気分♪

最強の暖房装置

燃料に灯油を使っていれば、長時間使用しても燃料代が気になりません。

2日間のキャンプでトータル8時間くらいは使ってましたが、1リットルの燃料ボトルで半分くらいの消費でしたね。

燃料に灯油を使っていれば、長時間使用しても燃料代が気にならない

YouTube

収納サイズ

温水循環装置の収納バッグとして、百均で売っていた「スタッフバッグ レジャー」を利用しました。

ベルクロも使われていないシンプルなロールトップ式のバッグですが軽量なので良い。

百均のスタッフバッグ レジャー

温水循環装置の本体と放熱チューブがスッポリと入ります。

温水循環装置の収納バッグとして使う

まだ容量に余裕があります。

まだ容量に余裕がある

バッグの上部を閉じてクルクルっと巻いてバックルをカチッとロックします。

百均のロールトップ式のバッグ

ストーブとボトルも一緒に並べてみました。

今回は1リットルの燃料ボトルを使用しましたが、トロ火で使用するので600ccのボトルでも8時間くらいは使用可能です。

氷点下2℃の気温下でも使ってみましたが、とても快適で暖かかったです。

使用後に銅管内の水を抜き忘れると凍結して割れるリスクがあるかも知れないと心配しましたが、今のところ問題ありません。

この循環式温水暖房装置、今まで使ってきたキャンプ用暖房器具の中では群を抜く暖かさで手間のかからない装置だと実感しています。

温水ヒーターの収納サイズ

本場韓国製のキャンプ用温水循環マットなんて商品も売られています。

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ソロキャンプでは、雪の日の寒さや夏の太陽の暑さ、強風の怖さやそよ風の快適さ、雨の音や虫や鳥の鳴き声、肌を通して自然を実感することができます。

最近ではブッシュクラフトなど、キャンプ道具を自作して楽しむ方も増えてきました。様々なキャンプシーンで使える色々な情報を個人的な観点で綴って掲載しております。

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【ソロキャンプ】

キャンプには色々な楽しみ方があると思います。

大勢の仲間で楽しむ、宴会キャンプ
一人で、山の中や無人島にこもる、自分を見つめなおすキャンプ
キャンプ場で仲間を増やす、友達探しのキャンプ
観光を目的とし、宿泊費を浮かす為だけにする、ゲリラキャンプ

その他、キャンプ(野営)の目的は人それぞれで違いますよね。

ひとり旅でのソロキャンプの利点は誰にも邪魔される事無く、その時の状況でいつでも行き先や行動を変更したりできます。

雨が降ればテントでゴロゴロ、天気が良ければ木陰で昼寝、夜になれば焚き火で乾杯。

一人旅でキャンプを楽しみたい方に参考になればと思い、このホームページを製作いたしました。

自作の温水暖房装置で冬のキャンプを楽しむ - 温水ヒーターで寒さ対策
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